7.1.15

Umata motors & Kawasaki W1SA 1971 (3)


 渡英前は、SR500とW650を所有していました。W650はツーリングにもっと気軽に行けるように、そしてノーマルのままで乗りたいと思えるという理由から購入しました。周りの仲間内では、クラシック・トライアンフなどへの乗り換えが多くなり、羨ましかったですが、英車は渡英するまではガマン、とずっと決めてきました。笑

 手に入れたW650は運良く(?)PoshのW1タイプのサイレンサーが装着されているものでした。W1へのひっそりとした憧れと、W650は全く関係無かったのですが、低回転では程よい振動と、ぐぐっと引っ張っていってくれる頼もしさ、そして音が心地良かったです。高回転ではレッドゾーン近くまですんなりと回り、力強い排気音の粒があっという間に小さくなり、振動はすっと収まります。それとは裏腹に攻撃的なサウンド、強烈な加速へとキャラクターがごろっと入れ替わるので、まさに一粒で二度美味しいバイクでした。一速で一気に引っ張って、60km/hを超えたぐらいで2速へ入れ、続いて3速、4速へと続けていくとあっという間に160kmに到達してしまうほど。そして、その乗りやすさゆえ、日本が狭く感じたぐらいです。(あくまで、若干チューンが施され、パワーと振動が増えていたSR500と比べて、の話です。)

 W1は重い、遅いと言われますが本当でしょうか? 車重は210kgで、W650と同じです。もっと重いかと思っていましたが、「このぐらいだったら」と感じました。ちなみにダブルディスクのW3になると、もうちょっと重くなってしまいますので更にずっしり感が増すそうです。クラシックトライアンフや、BSA Rocket Gold Starと比べてみると、30kg以上の差がありますので「ものすごく重い」とも言えますね。笑

 遅いかと言われれば、「遅いよ。」と言います。でもこれは、本当であって本当じゃない。まあちょっと待ってください。71年製のくせに(?)まだ4速しかありません。そしてギアの間隔がゆえ、4速80km/hで走っているともう一速探してしまうことが良くあります。「ああ、もう終わりかよ、なんだもう一速欲しいな。」と一瞬舌打ちしそうになりますが、「ああ、でも80km/h出てるんだったら、これでもいいんじゃないかな」とふと肩の力が抜けてくれるのです。そう、80km/hで走ることがストレスにならないバイクなのです。これがカフェレーサーのトライアンフや、BSA Gold Starであれば、もう少し速度を上げたくてストレスが溜まってしまいます。

 ここまでで終わってしまうと、「やっぱり遅いバイクじゃないか」ですが、そうではありません。気が向いた時に3千回転を超えた辺りから、スロットルで更に喝を入れてやります。それまでしならせていた竹が、びよーんと勢い良く伸びるように、エンジンの底の方から力強い雄叫びと共にパワーが見る見る湧きだして来るのです!その溢れ方は、獰猛さもちょっと感じるほどで、その豹変ぶりが最高なのです。ワイルドに扱うと、存分にワイルドになってくれる、こやつも一粒で二度美味しいバイクだったのです。笑 とは言うものの、前述したように80km/hでの心地良さがあるので、100km/hを越えての高速道路巡航は楽しくありません。そういう面では「遅い」とも言えるのでしょうね。

 また、W1SAを所有して思ったことの1つに、W650がいかに良く出来たバイクか、をしみじみ感じました。(今はW800ですね。)W1SAで感じられる、弾けるような排気音と程よい振動、その美味しい部分をW650は80km/hまでの中でしっかりと感じさせてくれるなーと思いました。どちらがオススメか、ともし聞かれても、答えには困りますね。その人のバイクとの付き合い方でどっちでも最高になり得る、としか言えません。これはどんなバイクでもそうだと思いますが。がっかりしたことを強いて挙げるのであれば、あの弾けるような音は、後ろから聞かないと存分に味わえないということです。笑 乗車している本人は、タイミングケースから聞こえてくる「ヒューン」というギアの音が思いの外大きく、最初はちょっと抵抗がありました。

 アイドリング時は、規則的なメカノイズが心地良く、これまで乗ってきたバイクの中でアイドリング時にさえ愛着をもった初めてのバイクです。「あー、頑張ってプッシュロッドが上下してくれてんだなー。OHVらしいってこういうことかー。」と何だか温もりさえ感じてしまうのです。W3が登場する映画「彼のオートバイ、彼女の島」での冒頭のシーンで、信号待ちのシーンでタンクを抱きしめてしまうシーンがありますが、ちょっと気持ちがわかりました。笑 タンクの上に手をおいて、ポンポンと叩きたくなる、愛らしい奴なんです。(僕より歳上なので、先輩なんですが。)

 ちなみに、映画のこのシーンはYoutubeで見れますので興味がある方はぜひ。ミナミの帝王でご存知、竹内 力さんの初主演映画だったそうです。

つづく (次で終わります!)

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