27.2.14

A piece of memory 1

先日、思い出のタンクが約10年振りに手元に戻って来た。
ヤマハ SR用のBSA Gold Starレプリカタンクだ。



高校の時、バイト先の大学生の先輩が乗っていたバイク。それがSRだった。

高校生からすると、大学生は違う世界に住む「大人」で、彼から音楽やファッションを教えてもらい、クラブに誘ってもらったりした。要するに憧れの人だった。彼のお下がりを良く譲ってもらったものだ。

ある時、その先輩がバイクを買ったというのでバイトが終わった後に見せてもらった。オレンジ色の薄暗い街灯に照らされていた、パーキングスペースにそのバイクが停められていた。今まで僕が知っていて、そして全く興味のなかったいわゆるネイキッドバイクとも、アメリカンバイクとも違った出で立ちだった。ハンドルの位置が下に向いていて、何だかごつごつした印象を受けた。全体にやれやれだったので、古そうで味があってかっこいいと思った。

中学の頃にアメカジが流行り、ヴィンテージ・ジーンズに憧れてレプリカジーンズを履いたり、安っぽいボーリングシャツを着たり、なんちゃってリーゼントをして笑われたり、オールディーズを聞いたり、アメリカの古いコカコーラの広告を壁に貼ったりしていた。そんなバックグラウンドがあったから、古めかしい雰囲気に惹かれた。(その前は、スケーターが流行ったりしていたが、それはこれからの自分とリンクすることがあるのかは分からない。笑)

ある時、その先輩の家にいつものように遊びに行き、ちょっと近くまで一緒に出ることになった。僕はホンダのカブで、その先輩の後ろを走ったのだが丁度狭い路地に差し掛かった。

直管仕様のマフラーから吐き出される単気筒の爆音。太鼓で言うスネアを力強くリムショットした時のような、突き抜けるような音に一発でやられた。正直バイク自体にあまり興味を持っていなかったし、足程度にしか考えていなかったけれど、この瞬間が、その価値観がごろっと変わったきっかけだった。

ー続く

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